大人にとって絵本とは?

絵本は子どもが読むものだと思っていますか?

今回は大人にとって絵本とは何なのかについて、考えてみたいと思います。

スポンサーリンク
ehon4kids (large)

絵本は子どもが読むものなの?

私は子どもがいなかった頃、英語を身につけるために英語の絵本を読み始めました。その頃は絵本は子どもが読むものだと思っていました。だから本当は読みたくないのだけれど、これは英語を学ぶためだからと自分に言い聞かせて「幼稚な内容をがまんして」読んでいたことを覚えています。

そのうちに児童書レベルが読めるようになってきました。私は子ども時代はあまり本を読まなかったので、児童書はとても新鮮でした。それと同時に、大人が読んでもかなりの読み応えある本が多いのだと驚きました。

英語の絵本や児童書がきっかけで、日本語の絵本も読むようになりましたが、読んでみると本当に素晴らしい絵本がたくさんあることに気がつきました。出産後は子どもに読み聞かせながら、涙をこらえきれず、声も出せなくなることもありました。

絵本は実に良くできていると思います。それは子どもは子ども目線で楽しめて、親世代はこれまでの人生経験と記憶が絵本により喚起され、文章の奥にある人生の深みに感動するのです。

作家の柳田邦男氏の言葉「絵本は人生で三度読むべき」がありますが、まさに絵本はどの年代の人にも読んで欲しい本だと思います。「人生に三度」とは、1度目は子ども時代、2度目は親世代になったとき、そして3度目は祖父母世代になったとき。私はまだ祖父母世代を経験していませんが、親と子どもの感じ方が違うのですから、きっと祖父母世代になるとまたさらに新しい視点を持てて、楽しめるのだと思います。

私が感動した洋書絵本、児童書

洋書ならではの部分もあるかもしれませんが、社会問題や愛をテーマにした絵本や児童書があります。その中には大人の私が驚くほど問題に深く切り込んだり、心の中をあらわにした作品に出会いました。この中のいくつかを紹介します。

日本語訳がある本は、洋書画像の横に日本語訳の本の表紙画像を入れています。

Dustbin Baby

  

生まれてすぐにゴミ箱に捨てられていた女の子のお話。14歳の少女となった今も、自分の過去の重さに苦しむ毎日です。自分を捨てたママはどんな人だったのだろうか。本当の自分を分かってくれる人はいるの?幼くして大きな命題を抱えて生きている彼女ですが、十代の女の子らしい感性で自分と向かいあって、もがきながら未来を切り開こうとします。心の叫びかと思うようなセリフも多々あり、泣いてしまいました。

Library Lion

  

ある日、図書館にライオンがやってきました。この設定にまず度肝を抜かれます。図書館にはルールに厳しい職員がいます。ライオンがうなり声を出した時に、大きな音を出す者は出て行ってもらうと言われます。その日からライオンはルールを守り、子どもたちや職員のお手伝いを始めたのです。ところが館長さんがけがをしてしまい、助けようとしたライオンが、ルールを破ってしまうのです。この後の展開が、とても素敵で大泣きしてしまいました。

Caleb’s Story

Sarah, Plain and Tallというシリーズの第3巻。ある日、父の不在時に見慣れぬ老人が家を訪てきました。実はこの老人、父の父、つまり主人公の男の子Calebの祖父。そうとわかり、家族みんなで歓迎します。けれどもただ一人、父だけは祖父を拒絶します。父と祖父の間に流れる冷たくさびしい空気、それを辛抱強く見守る家族。Calebは父と祖父のそれぞれの事情を知り、心を痛め、何とか元の関係に戻そうとします。けれども何十年とすれ違っていた関係です。一筋縄ではいきません。つらい涙から安堵の涙へ変わっていく物語です。

Baby

  

夏の終わり、Larkin家の前に赤ちゃんが手紙とともに置き去りにされていました。置手紙には必ず迎えに来ると・・・。Larkinの家族はその半年前に生まれたばかりの男の子を亡くしていたのです。その傷が癒えないうちに、赤ちゃんを迎え入れることになったLarkin一家。愛してしまうと別れがつらくなるので愛さないようにと思っていたのに・・・愛さずにはいられなかったのです。赤ちゃんと亡くなった男の子を重ねてしまうことで家族の悲しみがよみがえり、赤ちゃんを愛することで心が癒されていく家族に胸を打たれます。悲しくて、でも温かい。愛した分だけ別れがつらくなるかもしれないけど、それ以上に大切な宝物を手に入れることができると、あらためて感じた本でした

私が涙した日本語の絵本

サンタさんありがとう

しんちゃんという男の子が、お友達として一緒に遊べるクマのぬいぐるみをサンタさんにお願いします。サンタさんはクマのぬいぐるみを作り、人間の言葉も教えてしんちゃんのお友達になれるクマにします。ところが言葉を覚えたクマは、自分の置かれた状況を理解し、サンタさんと離れたくないと言うのです。クマの気持ち、とてもよくわかります。このまま楽しくサンタさんと一緒にいたい、でもしんちゃんのところに行かなくちゃいけないということも理解する様子が、大人の読者の涙を誘います。

いのちをいただく

このおはなしは、食肉加工センターに勤める坂本さんの仕事を通じて、命について考えるきっかけをくれる本です。生きるためには、他の命を殺して、その命をいただかなくてはならないのです。それは人間に限らず、生きる存在はすべて、命をいただいて生きている事実を意識させられます。だから食べ物を無駄にはできないという気持ちが芽生えます。それだけではなく、殺して食べることでつないだ命。だからこそいただいた命に感謝して、今の命を大切にしたいという気持ちも湧いてきます。生そのものへの感謝の気持ち、そして本当の「いただきます」の意味を、子どもと一緒に考えるいいきっかけになると思います。

であえてほんとうによかった

大きい恐竜と小さい恐竜が鉢合わせしたときに、地面が大きく揺れて割れ、二人のいる場所が陸から切り離されてしまいました。大きい恐竜にとって、目の前にいる小さな恐竜は食べる対象。小さい恐竜が怯えながら「僕はお魚を取るのが上手いから、毎日たくさん魚を取ってきてあげるよ。だから食べないで」と命拾い。そこから始まる二人きりの生活。次第に二人の関係が変わっていく様子に、感動の涙が押さえ切れませんでした。

ビロードのうさぎ

おもちゃのうさぎと男の子のお話です。うさぎはいつか本物になることを夢見ています。男の子に大切にされて、いつも一緒にいたのですが、ある時男の子が病気になってしまいます。快方に向かいましたが、伝染性があるために医者は男の子が寝室に持ち込んだおもちゃをすべて焼き捨てるように指示します。うさぎは静かに涙を流します。すると不思議なことが起きたのです。ラストはあったかくて少し切ない気持ちになります。

表現豊かな言葉に触れると心も豊かになる

感動する絵本や児童書などをたくさん読んできて、子ども向けの本には大人も感心するような豊かな表現力と想像の世界が繰り広げられていることがわかりました。絵本は大人にとって、決して幼稚な内容ではなかったのです。

私は文章を書く仕事をしていますが、絵本の文章のように無駄がなくかつ読む相手にストレートにメッセージを伝える表現はとても勉強にもなります。英語の文章は日本語とは構造が違いますが、そこからも学ぶところは非常に多いです。上で紹介したCaleb’s StoryやBabyの著者Patricia MacLachlanのシンプルで美しく、人の心にストンと落ちてくる文章を読んで何度感動し、ブツブツとその文章を繰り返しつぶやきうっとりしたことでしょう。

子ども達も成長の過程で、一生心に残るような印象に残るシーンやフレーズに出会うことでしょう。大人も同じです。絵本からでも大人は感銘を受け、一生心に残り、思い出すたびに温かい気持ちになったり切ない気持ちになったりする言葉に出会うのです。

それはとても小さなことかもしれません。けれども長い年月の間に、ふと気づけば美しく素敵な言葉で心の中の宝箱がいっぱいになっているのだと思います。

言葉はとても大事です。なぜなら言葉を獲得することで、人間は人間らしく論理的に物事が考えられるようになるし、抽象的で難しいことも考えることができるようになるからです。それから一番大事なのは、情緒に関わるような言葉をたくさん持っていると、自分を客観的に見て自己分析することも可能になり、情緒も安定しやすいのではないかと考えています。

子どもと共通の世界を持つ楽しみ

大人が絵本好きになると、子どもと共通の世界を持てることが良いですね。単に子どものために読んであげるだけというのではなく、自分も子どもと一緒になって絵本の世界を堪能し、ひとときを共有するのです。そういう時間をたくさん持つと、日常生活で子どもがふと口にしたことが絵本の引用だったり絵本のワンシーンのことだったりすることに気がつきます。

同じ世界を共有したからこそ楽しめる会話があります。そのような日常を楽しみたいと思います。傍から見ると、何を言っているのかさっぱりわからないこともあるでしょう。子どもとそのような時間を持つことができる時期も限られています。子どもは常に「今を生きる」生命体です。大人も子どもと向かい合うとき、一時でもいいから(四六時中はさすがにできませんね^^;)一緒に今を思い切り楽しみたいです。

大人も子どもも「楽しい」がとても大切

絵本は大人でも夢中にさせる魅力を持っています。そんな絵本の魅力に取り付かれた大人はたくさんいるはずです。現に私の知人の中にも、年齢・性別を問わず何人もいます。

「子どもに絵本の読み聞かせをするのはいいことだ」と聞いたか読み聞からせをするというのではなく、ぜひ大人も絵本に夢中になり、子どもと一緒に楽しんでいただけたらと思います。そうすれば子どもに読み聞かせるのは親(大人)の義務ではなくなります。親(大人)の楽しみに変わります。

子は親や周りの大人を冷静に観察しています。絵本を読んでくれているときの大人の表情や態度を敏感に察知します。そのときに読んでくれる大人が楽しそうなら・・・?絵本があまり好きではなかった子どもや、関心のなかった子どもは、本気で楽しそうに読んでいる大人を見たら、どうすると思いますか?

子どもは育つ環境に合わせて成長していくと思います。親や周りの大人を見て育つと思います。ちょっと話がずれてしまうかもしれませんが、これをしなさいあれをしなさいというよりも、大人がやってみせるほうが効果的です。私は「子どもに真似されてもいい行動か?」と自問して自分の言動を決めるようになりました。

そうはいっても、子育ては上手くいかないことばかりです。何でも思惑どおりに行くほうがおかしいのです。だからせめて、子どもと一緒に本気で楽しめる時間を持ちたいと思います。絵本、おすすめです!

そのうちに「大人の絵本の楽しみ方」の記事を書きたいと思います。子どもとは違う大人の読み方で、絵本がますます好きになり、絵本にハマっていくかもしれません。

スポンサーリンク
ehon4kids (large)

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク
ehon4kids (large)