大人の絵本の楽しみ方 後編

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歴史を紐解いて楽しむ

絵本を読んでいたら、グリム童話やマザーグースに出会うことがよくあります。「あーこれ、読んだことある~」「聞いたことある~」と流すのも悪くはないですが、ここでふと立ち止まってみるのが大人な絵本の楽しみ方。

ミステリアスなもの、何かわからないけれど恐ろしげな気配のするものに出会うと、なぜか「知りたい知りたい知りたいよ~」となりませんか?その好奇心は大事にすべきだと思うし、そこで寄り道することにより、新たな楽しみを見つけることだってあるのです。

私はそういう好奇心に駆られて絵本を読むことを、「絵本の大人読み」とひそかに呼んでいます。

グリム童話 今と昔

ディズニー映画の『塔の上のラプンツェル』を観たのをきっかけに、同じディズニー映画をもとに描かれた洋書(タイトルは『Tangled』)を読んでみたのでした。とても面白くて、これって原作はなんだろうと思い、調べていると意外なことがわかりました。

原作はグリム童話の中にある物語。日本語のタイトルは同じく『ラプンツェル』。実は今読まれているグリム童話の中のラプンツェルの物語は、元の話とかなり変わっているのです。初版が1812年でしたが第5版が出る頃までにかなり改訂がなされたからです。

今はグリム童話として親しまれていますが、当時の正式なタイトルは『子供たちと家庭の童話』だったそうです。初版はほぼ口承のままのかたちを保っていたために一つ一つの物語が短く、文章が粗野であるとか話の内容・表現が子ども向きでない、あまりに飾り気がないといった批判を受け、改訂が繰り返されたそうです。

具体的には過度に残酷な描写や性的な部分と認められた箇所は削除され、足りないと思われる風景描写や心理描写、会話文が増やされたとのこと。その過程で『ラプンツェル』は大幅に改訂がなされたらしいです。
グリム童話の説明は、ウィキペディアのグリム童話を参照しました。

原作(初版)ももちろん読んでみました。興味をそそるタイトル『本当は恐ろしい グリム童話』という本を見つけ、興味本位で読んでみました。

結果、自分がどう感じてどう結論付けたかはともかく、歴史をたどる過程が楽しかったです。そしてグリム童話に対する自分なりの考えが持てたことで、ますます絵本の世界に魅力を感じるようになった気がします。

グリム童話の改訂について、私が以前に書いたブログ記事があります。詳細は下記のリンク記事を参照してください。

『塔の上のラプンツェル』背筋が凍る原作?!
童話の世界と家庭と子ども

マザーグースの謎に迫る

マザーグースにハマるまでは、マザーグースという言葉は知っていても、頭の中ではなんとなくぼんやりとした輪郭しかありませんでした。

洋書を読んでいると、たびたびマザーグースの一節を目にしていました。その一節を知らなかったら「いったいなんだろう?」と思って、スルーするでしょう。けれどもスルーするのはあまりにももったいない話ではないでしょうか。文字面だけ読んでもさほど深い意味を感じない内容に、どんな深い意味が隠れているのかを知れば、もっともっと物語を楽しめます。

洋書を読んでいてたびたび目にしていたマザーグースがちょっと気になったので、マザーグースの本を読んでみたのがきっかけで、マザーグースにどっぷり浸かった時期がありました。今でも好きで、メロディのあるものを日常的に歌ったりしています。

マザーグースへの興味がピークに達していた頃に、マザーグースについて書かれた和書を数冊読みました。そのときに書いたブログ記事を下記に紹介します。

マザーグースの謎 残酷とナンセンス

作家を好きになる

ストーリー展開やイラストが好きで、同じ作家の違う絵本を読みたいと思うことがあると思います。そんなときはまず、図書館へ行って探しましょう。知的好奇心を押さえることなく、子どもと一緒になって欲望を満たしていけばいいのです。

絵本が好きになるきっかけを作ってくれた作家さんたち

前編からずっと、絵本が好きになるきっかけを書いてきましたが、作家を好きになるというのはよくある話です。始めは好きな作家なんていませんでしたが、乱読していると出会いがあるものです。私が絵本好きになるきっかけを作ってくれた作家を少しだけ紹介します。

モーリス・センダック

気になる作家に出会えたら、まずはその作家の作品を手当たり次第読むとよいですね。読みながら、この作家さんはどんな人だったのだろう。いつの人?もうこの世にはいないの?私生活は?などなど、いろんな興味も湧いてきます。

私は始め、モーリス・センダックのイラストに惹かれ、そして遊び心あふれたストーリーに惹かれました。マザーグースを何度も目にしたのは、彼の作品でした。

そのうちに、ある絵本がアメリカのある場所で物議をかもしたという記事を目にしました。丁度その絵本は私のお気に入りの1冊で何度も読んでいたので、とても興味深い話題でした。

モーリス・センダックという人物も、私にはとても興味深かったです。ウィキペディアには載っていない、彼の私生活やものの考え方などを知るたびに、作品にも愛着を感じるようになりました。残念ながら2012年にこの世を去っています。

モーリス・センダックの中で、一番好きな絵本をあげてといわれたら、一つに絞るのが難しいのだけれどこれかな・・・。

『ミリー 天使にであった女の子のお話』 『Dear Mili』

  

原作がヴィルヘルム・グリム。グリム童話を編纂したグリム兄弟の一人(弟)です。そしてイラストがモーリス・センダック。ちょっとだけあらすじを書いておきます。

戦争が子ども達の命を奪っていきます。近くまで火の手が上がったのを見て、母はたった一人残った娘にこう言うのです。あの森の奥深くまで入って隠れていなさい。3日経ったら帰ってくるのよと。

少女はたった一人で薄暗くて怖い森の奥深くへ入っていきます。森にはどんな危険が待ち受けているかわかりませんが、家にいるよりはまだ生き延びる可能性があると、母は考えたのです。どれほど辛い決断だったでしょう。

少女は森で不思議な体験をします。そして3日経ち、家に戻ってみると・・・。
そして衝撃のラスト。

この絵本について、もう少し詳しい内容を別ブログで書いています。記事は下記リンクから見ることができます。

グリムとセンダックの渾身作

ランドルフ・コールデコット

1800年代のイギリスのイラストレーター。絵と言葉が互いを補い合う作風は当時新しく、ウォルター・クレイン、ケイト・グリーナウェイと並んでイギリス絵本の新たな表現形式を確立した三大画家のひとりに数えられています。アメリカ合衆国で、その年に出版された最も優れた子ども向け絵本に毎年授与している「コールデコット賞」は、彼の名をとったものです。

かなり昔の人ですね。日本人の中では知らない人のほうが多いかな?でも実はコールデコットは超有名な絵本作家たちに、多大な影響を与えているのです。ピーターラビットの生みの親として著名なビアトリクス・ポターは、子どもの頃に父が買ってきたコールデコットの絵画を見て自分も画家になりたいと思い、絵本作家として大成功しました。

ランドルフ・コールデコットについては、下記ブログ記事にて詳しく書いています。

天才画家 ランドルフ・コルデコット

コールデコットの絵本は英語の絵本を読み始めた頃の私には難しすぎる英語でしたが、いつしか読めるようになりました。古い英語表現が散見し、難解な箇所もありますが、絵に助けられながら楽しむことができます。解説本もありますが、実はその解説本の日本語のほうが難解で、結局原文からヒントを得て紐解く部分もありました(笑)。

私が住む行橋市の図書館に『現代絵本の扉をひらく コールデコットの絵本』(コールデコット絵本の復刻版)があります。解説本も付いて、すべて貸し出し可能になっています。買うとかなり高価ですので、まずはお近くの図書館で探されてはいかがでしょうか。

私がランドルフ・コールデコットに魅せられるきっかけになったのは、上記復刻版の中にある下記タイトルでした。

森の二人の幼い子ども The Babes in the Wood

両親が幼い子どもたくさんの遺産を残して死んでしまいます。親戚が引き取りますが、遺産に目がくらみ子どもを殺そうと思います。人を雇って、子どもたちを森に連れて行き殺してくるように指示します。救いようのないストーリーに身体が凍りつきました。これが子どもも読む絵本とは驚きでした。私にはショックは大きいものの、興味深い絵本でした。

狂った犬の死に捧げる唄 The Mad Dog

犬を飼っていた男性は、犬と仲良く暮らしていたのにある日突然犬が狂いだし、飼い主の男性を噛んだのです。噛み傷が深くて助からないと人々がささやきます。ところが奇跡的に男性は回復し、犬が死んでしまうというストーリー。死んだ犬の様子がリアルすぎてドキッとします。

ジョン・ギルピンのこっけいな出来事 The Diverting History of John Gilpin

Gilpin夫妻は結婚20周年。これまで一度も休暇を取ったことがなかったので、食事会でもということになります。夫婦の兄弟とその子供たちも招き、馬車に乗り込みますが全員乗れずにJohn Gilpinだけ馬に乗って後からついて行くことに。これが喜劇?悲劇?の始まりでした。シリアスな絵に不似合な状況が描かれていて、絵を見入ってしまいます。

図書館にある『現代絵本の扉をひらく コールデコットの絵本』(コールデコット絵本の復刻版)をすべて読んだ私の感想などを、ブログに書いています。下記にリンクしておきます。

コールデコット絵本

絵本作家に会いに行く!

実際に絵本作家さんに会うと、その後その作家さんが描いた絵本が気になります。新作が出たら、思わず手が伸びるでしょう。どうしてだか、親近感が持てるようになります。

会いに行くといっても、大変なことではありません。注意深くアンテナを張っていると、絵本作家展とか講演会などの催しに気がつきます。だいたい図書館などの掲示板や公共施設に設置しているチラシコーナーにあることが多いです。

子どもがメインターゲットだと思うので、日曜や長期休暇などに催されることが多いです。近くで開催されることがわかったら、ぜひ行きましょう!

宮西達也

<おおかみグーシリーズ>や<かぶと三十郎シリーズ>、<きょうりゅうシリーズ>、<パパはウルトラマンシリーズ>が面白いです。大人も思わず泣けてくるちょっといい話もありますよ。私は号泣しましたがね(笑)

2016年の夏、北九州にある文学館というところに、宮西達也さんの絵本展&講演会に行ってきました。そのときの様子をブログに書いているので、リンクしておきます。ご本人の読み聞かせやサイン会や記念撮影など、とても楽しかったです。

宮西達也ワンダーランド展へ行ってきた!

村上康成

私が住む行橋市で、絵本作家の村上康成さんの講演会がありました。すぐ近くだったので、行ってきました。絵本の販売もあって、購入者にはサインがもらえました。せっかくなので1冊買いました。子どもの名前を書いてもらい、いい記念になりましたよ。子どもに「この本を書いた人が、名前と絵を描いてくれたんだよ」と言うと、不思議そうな目でサインを見ていました。

私が勝手に考えているだけですが、そういう特別な何かと絵本を結びつけることで、子どもの心に作品プラスアルファの記憶と愛着を持ってくれたらと思います。

村上康成さんの講演会

まとめ

結局、入り口はいくつもあるのです。きっかけは何であれ、絵本の世界に一歩立ち入れば、大人だからこそ面白いと思える絵本に、きっと出会えるでしょう。子どもと一緒に楽しみながら、大人の楽しみと欲求も同時に満たすことができれば最高ですね!

子どもの成長を待って、一緒に読みたかった絵本を並んで座って読む姿を想像して、ワクワクするのは私だけではないと思います。子どもの成長は早いです。だからこそ、今の一瞬一瞬を大切にしたいですね。子どもと共有する思い出の中に、たくさんの絵本も詰め込みたいと思います。

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