子どもと絵本を楽しむ わが家のうちどく事例発表

2017年1月29日(日)、みやこ町中央図書館で「うちどく講座」がありました。この日は私が所属している「福岡うちどくネットワーク」の光畑眞哲士代表が「広げよう!家庭での読書『うちどく』」をテーマに講演を行い、その合間の30分をいただいてわが家で実践している家庭読書の事例発表を行いました。

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うちどくとは

「うちどく(家読)」をご存知でしょうか。うちどくは「家庭ふれあい読書」を意味する造語「家族読書」または「家庭読書」の略語です。

1995年から始まった「朝の読書」運動が全国の学校にも浸透し、2006年には満を持して「家読」活動が展開されました。家読活動を開始するにあたり、朝の読書に積極的に取り組んでいる子ども達による子ども会議が開かれ、「家読の約束」ごとが決まったのだそうです。

その「家読の約束」は以下のようなものでした。
1. 家族で同じ本を読もう。
2. 読んだ本で話そう。
3. 感想ノートをつくろう。
4. 自分のペースで読もう。
5. 家庭文庫をつくろう。

子ども達が中心になって決める約束事、いいですね。「うちどく」の誕生と、現在の活動については下記URLで詳細をご覧いただけます。

うちどく.com

私が考えるうちどくの意義と事例発表までの経緯

読書の大切さは言わずもがな。子ども達は将来を担う国の宝と言われますが、今では地球の宝というべきかもしれません。その子ども達に読書を好きになってもらい、たくさん本を読んでもらうことを目的にしたのが朝の読書なのだと思います。

「朝の読書」は子ども達が日中過ごす学校で行われました。けれども本当に読書習慣を身につけてもらうためには、家庭で家族と取り組むことが必須でした。そこでさらに読書の広がりを!ということで始まったのが「うちどく」であろうと、私は理解しています。

家庭で取り組むためには家族(大人)の協力は不可欠。けれどもどうでしょうか。活字離れと言われて久しい昨今、一番身近な大人が本を読まないで、どうして子どもが本を読むようになるでしょう。親は子どもの鏡とはよく言ったものです。まずは親が本を読む姿勢を見せることで、子どもも自然に日常の中に読書を取り入れるようになるのだと思います。

私はもう一つ、うちどくには大きな意義があると思っています。それは家族内のコミュニケーションです。現代社会は子どもが物心つくころから、身の回りはゲームやスマホに囲まれています。最も小さな社会的単位である家庭の中で、生身の人間と対面で言葉を交わし、感情や人間関係を育てることは非常に重要で絶対に必要な学びです。家庭内で良い人間関係を築けなければ、大きな社会に出るともっと難しいのですから、大変苦労すると思います。

日常的に交わす会話のほかに、本があれば家庭に存在する言葉が圧倒的に広がります。話題も広がります。本はコミュニケーションを活発にし、楽しいものにしてくれます。だからうちどくを推進する運動が広がったのですね。

私はまったくこの考え方に同感であり、わが家でうちどくを実践することには全く抵抗がありませんでした。むしろ子どもが小学生になり、自然にうちどくの世界に足を踏み入れたというのが実感です。そんな折、事例発表というめったにない機会をいただき、光栄に思うと同時に、わが家の事例が少しでもどなたかの勇気と力になればとの思いで、このお話をお受けしました。

わが家のうちどく

1月29日(日)、みやこ町中央図書館で行われた「うちどく講座」で、「福岡うちどくネットワーク」の光畑眞哲士代表が「広げよう!家庭での読書『うちどく』」という演題でお話をされました。その講演の合間に、私がわが家で行っているうちどくの事例を紹介しました。以下、私が話した内容をまとめます。

家庭で本を楽しむためには

家庭で本を楽しむためには、いろいろな工夫が必要でしょう。わが家の工夫のポイントは、
1. 決まったときに読む(夕食後、就寝前など)
2. 読む本は子どもと読み手で決める
3. 理解の確認はしない
4. 解説は必要最小限にする
5. 子どもの興味を引くための言葉かけをする

これらのポイントのいくつかについて、説明します。

決まったときに読む

子どもは習慣づけが大人よりも容易にできます。だから大人がちょっと意識して決まったときに本を出してくると、読書モードに移りやすくなると思います。「決まったとき」とは時間ではなく、夕食後や就寝前など、生活の中で必ず行う行為の前後に決めておくと、大変やりやすいです。

特に就寝前は、どんなに時間がないときでも、子どもが布団に入り眠りにつくまでの間、一緒にいて本を開くことができそうです。高学年になってくると、眠る前に親が寄り添うと嫌がると思いますが、低学年までは上手くいくと思います。高学年になったら、寝室へ行く前のひと時を利用してリビングで読むのもいいと思います。とにかく毎日5分でも10分でも時間を作ると、それが習慣になってきます。

理解の確認はしない

私は子どもが自発的に言葉の意味を聞いてきたり、本の感想を述べるまで、待つようにしています。難しい言葉が出てきても、本を読んでいる途中や読み終わった後で説明することは、全くないわけではないですがほとんどしません。それはいつも親が先導することにより、子どもを受身にしないためでもありますが、子どもに自由に何かを感じてほしいからです。

本を読んでいるときや読んだ後に、子どもがお勉強させられているかのような感覚に陥らせないためにも、自由に感じさせることも必要かなと思います。お勉強としての感想文などは、別に機会をうかがって設けているので、わが家のうちどくタイムは、本当に自由です。

子どもの興味を引くための言葉かけをする

子どもへの言葉かけは、ある種の魔法です。親子やいつも一緒にいる間柄ならば、魔法は有効です。わが家の場合、これから読む本が少し難しい本や少し長いお話の本であるときに、この魔法を使います。

少し難しいかなと思う本を選ぶということは、何らかの思いがあって選んでいます。その思いというか、理由が大事で、それが子どもにわかる言葉で伝えることで、子どもが聞く体勢になります。長すぎるお話の場合には、数日に分けたりもしますが、大概子どもは私が思ったところよりももっと先まで読んで欲しがります。

一つ例をあげると、ヘレンケラーの絵本を読んだことがありました。この絵本は図書館で見つけて、まだ小学1年のわが子には難しいし長いかなと思いましたが、どうしても読みたかったので選びました。

読む前に、表紙のヘレンの絵を指して、子どもに言いました。「これはヘレン。この子は赤ちゃんのときに病気で目と耳が聞こえなくなったの。」そういってもピンと来ない様子。それは想定内だったので、次にこう言いました。

「じゃあ目を閉じてみて。そして耳をふさいでみて。耳をふさいでもママの声は聞こえると思うけれど、聞こえないと想像してみて。」次に「赤ちゃんのときにそうなってしまったのよ。まだ言葉もあまりわからないときに。じゃあヘレンはどうやって言葉や字をお勉強したのかな?」

とたんに子どもの顔がハッと何かに気がついたような表情に変わりました。それからすぐに絵本を読み始めました。長いお話でしたが、最後まで私が読むのを聞いてくれました。

一番伝えたかったこと

事例発表の30分間で、わが家のうちどくの歴史、どのようにうちどくを進めているか、なぜ子どもと本を読んでいるのか、そしてこれから目指すことについてお話しました。

私がこの発表の中で一番伝えたかったことは、誰でもいつからでも本が好きになれるということ、遅すぎることなどないということです。親が本を読むのが好きではなく、うちどくなんてできっこないと感じていたとしても、それは今そう思っているだけで、一歩踏み出してみたら意外にも本が好きになることもありえます。

私は本を読まない子ども時代を過ごしました。活字を読むのが苦手でした。1冊の本を読み通すことが苦痛だったのです。けれどもあるきっかけで、英語の絵本を読むようになりました。当時は仕方なしに読んでいたのですが、次第に絵本が面白いと思えるようになりました。

私の場合は英語の絵本から入り、日本語の絵本へと広がっていきました。今では活字を読むのが大好きになりました。英語の絵本を読み始めたのは38歳のときでした。それ以前は本を読むのが苦手だったのです。絵本が好きになってきたのは40歳過ぎてからのことです。

だから「私は読書家ではないから」という理由で、うちどくは無理と思わないで欲しいと思います。本を読むのが苦痛でも、絵本なら短いので読めると思います。子どもと無邪気に絵本を楽しむうちに、自分自身の絵本の世界が持てるようになり、子どものために一緒に読むのではなく、子どもと一緒に読む楽しみが持てるはずです。

うちどくは子どもの成長のためだけにするものではないと、私は考えています。今しかない子ども時代に、本を通して家庭内で共有する思い出ができるなんて、素敵なことだと思います。子どものために親ががんばるうちどくではなく、家庭で子どもと一緒に楽しむためにするうちどくを進めていただきたいと思います。

うちどくを広げよう

家庭内読書は、読書習慣作りの「取り組み」でもなんでもなく、日常的にそこにあるものだと思います。学校や地域の取り組みとして、これからさらに広く「うちどく」の活動が多くの自治体で展開されていくと思います。それはうちどくとの出会い、うちどくを始めるきっかけになるでしょう。

出会いも大切ですが、継続はもっと大切です。うちどくの取り組みが行事化してしまい、期間が過ぎれば熱が冷めてしまうというものではなく、ご飯を食べたり着替えをすることと同じように、日常の中に取り込むことができるような働きかけも必要だと思います。

それにはおうちの方の協力と理解が必要です。一人でも多くの方に絵本の楽しみを届けるためにも、私はこれからも地域で英語や日本語の絵本の読み聞かせボランティア活動を続けていきたいと思います。

余談ですが、ボランティアで読み聞かせの活動を行うことにより、新しい絵本にであったり絵本好きの人と交流を深めて、さらに絵本が好きになるという好循環を引き寄せることができます。それはわが家のうちどくにも、とても役立っています。この経験から、絵本をキーワードに地域の方々とつながることの重要性にも気づくことができました。

この日の感想

光畑代表の講演は、学校におけるうちどく活動の舞台裏もよくわかる内容で、自治体でうちどくに取り組む大変さがとてもよくわかりました。この活動はたくさんの家庭にうちどくを知ってもらうためには有効だと思います。けれどそれにしても大掛かり。費用もかかりそうだということが理解できました。

小学生の読書率はまだ高いけれど、中学生高校生と年齢が上がるにつれて読書率が下がるというデータをどこかで目にしたことがあります。実際、今回の受講者の中にも、高学年に対する実践例が聞きたいという声がありました。それはそのままわが家の課題にもなると思ったのでとても参考になったし、今後どうしていくのがよいのか考えて家庭内で実践していきたいと思いました。

英語絵本の読み聞かせも

講演会の最後に光畑代表の計らいで、受講者の皆様の前で英語絵本の読み聞かせをさせていただきました。読んだのは2冊。
『When Sophie Gets Angry – Really, Really Angry』
『This Is Not My Hat』
でした。読み聞かせボランティアの方が多かったので、興味深く聞いていただけて嬉しかったです。

おわりに

このような機会をくださった みやこ町中央図書館の方々、家読講座を受講してくださった方々、そして福岡うちどくネットワークの光畑代表に感謝いたします。うちどくが今後、たくさんの地域、家庭に広がっていくことを願いながら、これからも楽しく活動を続けていきます。ありがとうございました。

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コメント

  1. 加藤照美 より:

    とてもよく書けてる、読み聞かせをするのに、参考になるサイトですね。
    読み聞かせ仲間にもシェアしますね。

    今しかない子ども時代に、本を通して家庭内で共有する思い出ができるなんて、素敵なことだと思います。子どものために親ががんばるうちどくではなく、家庭で子どもと一緒に楽しむ、、、。

    本当にそうだと思います。
    孫に絵本を読む機会がない、ならボランテイアの読み聞かせがあることを知り、月2回小学校での読み聞かせをしています。

    私のスタンツは、子供と一緒に読む、一緒に遊んでもらってる。
    という感覚です。

    今年は初めて四年生を受け持ち、(1・2年生のときに読んでいた子ども)、1年生の時に読んだ本、どこいったん、ちがうねん、の結末についてのそれぞれの思いを話してくれました。覚えてるんだと、とても嬉しかったのよ。

    • waremoko より:

      加藤照美様
      コメントありがとうございます。照美おばさんのほうが、しっくりきますね(笑)
      フェイスブックでシェア後、こちらに来ていただけて嬉しいです。
      家庭内での親子の会話は、ややもすればワンパターンになりがちですが、絵本を介して広がる会話は無限ですね。
      学校だけではなく、家庭も同じく子どもにとって学びの場。「勉強」とは違うわくわく感いっぱいの学びの場であることが理想だと思います。
      そしておっしゃるように大人も子どもと一緒に絵本を読んで、楽しむ・遊ぶ。この体験は子どもだけではなく大人にとって大きな学び体験でもあるでしょうね。
      何年たっても、大人になっても「あのとき読んでもらった絵本」が子どもたちの記憶に残るって、素晴らしいですね。私も学校へ月2回行く読み聞かせボランティアは、とても楽しいです。